乙女ゲームの魅力を多くの人に伝えたくても、語彙力がなさすぎて魅力全体の10%すら表現できていない美桜です。もどかしい。
そんな私はつい、乙女ゲーム作品のレビューで褒め言葉として「シナリオが良い」「シナリオが作りこまれている」という言葉を頻繁に使ってしまいます。
皆さんも誰かに乙女ゲーム作品をおすすめするとき、「この作品、シナリオがめっちゃ良いよ!」と言ったことはありませんか?
”深いシナリオ”とか”良いシナリオ”って使いやすい便利な言葉ですよね。
でも、改めて考えてみるとシナリオが良いとはどういうことなのでしょうか。シナリオの良し悪しは何によって決まるのでしょうか。
今回の記事では「シナリオが良い」について深堀をして、良いシナリオの条件を考えてみることにしました。
シナリオが良いとよく言われる作品
「良いシナリオ」について考えるため、まずは多くの方からシナリオが良いと評されている作品を挙げてみたいと思います。
最近シナリオが深いと話題に上がっていた作品と言えば、「終遠のヴィルシュ」
終ヴィルはとにかくストーリーが壮大でした。一つの事件の犯人が判明して、これで一件落着だと思ったら、またより複雑な事件が発生して謎が深まっていくんです。
全ての事件が絡みつきながら一つの真相に向かっていく様子は、見ていて引き込まれましたね。制作陣のシナリオへの力の入れ込みがすごい作品だと感じました。
終ヴィルのレビューはこちら↓
そして長年愛され続けているシナリオが良い作品としては、「Code:Realize(コードリアライズ)」や「Collar×Malice(カラーマリス)」などが挙げられます。
シナリオが良いと言われている乙女ゲームは、基本的にシリアスな作品が多いイメージがありますね。また、Amazonレビューを見てみると、シナリオが好評の作品は総合評価も高いです。乙女ゲームではシナリオが重視されていることがわかりますね。
良いシナリオとは何か
これまでに私は100作品以上の乙女ゲームをプレイしてきました。その中で、これはすごいと感じたシナリオもありましたし、一方でこれは微妙だなと感じたシナリオもありました。
そこで、シナリオが良いと感じた作品に共通していることは何だろうと考えてみたところ、以下の3つの共通点が思い当たりました。
【良いシナリオの共通点】
- 満足感がある
- 納得感がある
- 続きをどんどん読みたくなる
1の「満足感がある」というのは、その乙女ゲーム作品をプレイし終わったときに、満たされた気持ちになるかどうかということです。
良いシナリオを読んだときには、充実感たっぷりで幸せな気持ちになれます。
2の「納得感がある」というのは、プレイしていて違和感や疑問を感じることがない状態のことです。
シナリオに小さな矛盾があるだけで、奥歯に何かが挟まっているような気持ち悪さを感じるんですよね。良いシナリオでは違和感を感じることなく、納得のいく展開が繰り広げられています。
3の「続きをどんどん読みたくなる」というのは、そのままですね。良いシナリオの作品は、寝る間も惜しんでプレイし続けたくなります。
この3つの共通点から、良いシナリオの条件を考えてみました。
良いシナリオ5条件
1:恋愛過程が自然であること
乙女ゲームをプレイしているとたまに、「主人公はいつの間に相手に惚れてたの!?」と思うことがあります。
相手に惚れる要素がほとんどないのに、気づいたら主人公は攻略キャラのことを好きになっていて違和感。なんだか、シナリオからおいていけぼりにされたと感じることがあります。
しかしシナリオが良いとされる作品では、恋愛過程がとても丁寧に描写されています。
良いシナリオでは、恋に落ちた音が聞こえるんですよね。主人公と攻略キャラ、お互いがお互いを好きになる瞬間、好きになる理由がしっかりわかるシナリオは納得感があります。
2:ご都合主義ではないこと
「いろいろな難題が発生していたけど、マジカルなパワーで全部解決しちゃいました~!」みたいなご都合主義シナリオは、良いシナリオとは呼べません。
ハッピーエンドにするために、無理やり問題を解決した感じがするとなんだか冷めてしまうんですよね。
良いシナリオでは、ご都合主義は基本的にありません。ファンタジーだとしても、リアリティのある残酷な展開を見せつけられます。しかし、過酷な展開を乗り越えたからこそのハッピーエンドは幸福度が段違いです。
ちゃんと筋道の通ったシナリオだと、物語に違和感なく入り込むことができますね。
3:ありきたりなシナリオではないこと
あまりにも先が読めてしまうようなシナリオは、読んでいて面白くありません。「この展開あるあるすぎてもう見飽きてきちゃったな~」なんて思ってしまうからです。
でも、ありきたりなシーンって言い方を変えれば王道シーンでもあるんですよね。多くの人がキュンキュンした人気シーンこそ、いろいろな作品で使われるようになって王道シーンになるんです。
王道シーンはやっぱり王道なだけあってキュンキュンはするんですけど、またかと思っちゃうのも事実。何か一捻りあれば良いのになと思ってしまうんですよね。
王道シーンかと思いきや、こう来るのか!というような意表を突かれるようなシナリオだと読んでいて楽しいです。
4:伏線の回収が見事であること
悪いシナリオの代表例といえば、伏線が回収されないシナリオ。
たくさん伏線をばらまいたのに、それらを回収せずにうやむやのまま終わらせるシナリオは、読んでいてもやもやが残ります。(サスペンスドラマでも伏線未回収はたまにありますよね)
一方、多くの伏線を一つずつ丁寧に回収していくシナリオは、読んでいて驚きと感動でいっぱいになります。あの行動にはそんな意味があったのかと驚きつつ、伏線の張り方に感動するんです。
「もう一度最初からシナリオを読み返したい」と思えたら、それは確実に良いシナリオだと言えるでしょう。
5:金太郎飴的シナリオではないこと
金太郎飴(きんたろうあめ)的シナリオとは、どの攻略キャラのルートも似たような展開になってしまっているシナリオのことです。金太郎飴は、どこを切っても同じ模様が出てくることからこの名前がつきました。
金太郎飴的シナリオの一番の問題は、読んでいて退屈なこと。一人目の攻略キャラでは新鮮な気持ちで楽しく読めるのですが、二人目以降はほぼ同じ展開なので飽きてきます。
良いシナリオだと評される作品は、金太郎飴的シナリオの真逆を行きます。どの攻略キャラのシナリオも展開が全く異なっていて、毎回新鮮な気持ちで読むことができるようになっているんです。
「もはや違う作品をプレイしているんじゃないか」と思えるくらい、攻略キャラごとに全く異なる展開のシナリオもあるんですよね。
最初から最後の攻略キャラまで一切飽きずに楽しむことができる、Not金太郎飴的シナリオであることは、良いシナリオの条件の一つと言えるでしょう。
「良いシナリオの5条件」まとめ
【良いシナリオ5条件】
- 恋愛過程が自然であること
- ご都合主義ではないこと
- ありきたりなシナリオではないこと
- 伏線の回収が見事であること
- 金太郎飴的シナリオではないこと
以上の5つが、私なりに考えてみた良いシナリオの条件です。
細かいことを言えば、良いシナリオ条件はもっとたくさん挙げられますが、上記の5つはあくまでも最低条件といったところでしょうか。これら5つの条件を満たさずには、良いシナリオとは呼べないという感じですね。
まあ偉そうなことを書いてしまいましたが、私は一切シナリオが書けないので、シナリオを書いている方は皆さん尊敬します!そして私たちをわくわくさせてくれるようなシナリオを書くライターさんには、感謝の気持ちでいっぱいです。
これからも素敵な乙女ゲーム作品に出会えますように!
ここまで読んでくださってありがとうございました。